
カスタマージャーニーマップとは?事例と作り方、ペルソナの設定方法
カスタマージャーニーマップとは?
カスタマージャーニーマップとは、顧客がサービスを利用する中で経験する一連の体験を、顧客の視点から表した図のことを意味します。プロダクトを初めて知ったときから、購入やリピート購入などの購買行動を起こすまでの、一連のタッチポイントを表現するものが多いです。カスタマージャーニーを理解することで、プロダクトをより価値のあるものにすることができます。
なぜカスタマージャーニーマップを作るのか?
顧客を深く理解できる
カスタマージャーニーマップは、顧客がどんな体験(ジャーニー)をしているのかを理解しやすくするために作ります。顧客から集めたデータを時系列にまとめて、顧客がプロダクトやビジネスに触れるタッチポイントを左から右に並べ、目で見て視覚的にわかりやすいように、図で表現されます。
チームやステークホルダーの同意を得やすい
チームで作成したカスタマージャーニーマップがあると、新しい機能を追加するときなど、さまざまな局面でチームやステークホルダーの合意を得やすくなります。顧客のタッチポイントと、そこで顧客が感じているペインポイント(困っていること)が明確であればあるほど、ペインポイントを解決する新機能がどうあるべきなのかもチームにとって明確になります。
カスタマーエクスペリエンス(CX, 顧客体験)の向上
カスタマージャーニーマップを作成することで、プロダクトを使う中で顧客がネガティブな感情を持つタッチポイントを特定することができます。これらのタッチポイントを改善していくことで、カスタマーエクスペリエンスを改善することができます。
カスタマージャーニーマップの5つの構成要素_
完全なユーザージャーニーマップを作るためには、5種類のデータを収集する必要があります。
ユーザーのペルソナ
ペルソナとは、あなたのビジネスやプロダクトを利用する典型的な顧客をイメージした、架空の顧客像です。多くの企業では、複数のユーザーペルソナを設定しています。ほとんどの企業で、「ファッションに敏感な鈴木さん」や、「気さくな倉田さん」のように、短くてキャッチーな名前をつけています。
タッチポイント
企業と顧客の間で発生する接点のことを、タッチポイントと言います。
感情
それぞれのタッチポイントには、ポジティブ、中立、ネガティブなど、顧客が持つ感情を表現する箇所が必要です。
インタラクション・タイムライン
インタラクション・タイムラインは、ジャーニーマップを地図化する要素で、タッチポイントが発生した順に時系列に表示されます。
チャンネル
各タッチポイントがどこで発生したのかを表すのがチャネルです。カスタマージャーニーマップを見ていく上では、コンテクスト(文脈)を理解していくことが重要なのですが、チャネルのデータはコンテクストを理解する上で役に立ちます。友人の勧めでアプリに登録したユーザーと、アプリストアで検索して見つけたユーザーとでは、全く異なる体験をするでしょう。
カスタマージャーニーマップの作り方(ステップ別)
顧客を中心にしているチームでは、次の7つのステップに沿ってマップが作成されます。
1. ゴールを決める
明確なゴールがないと、ジャーニーマップはすぐに収拾がつかなくなります。すべての顧客のライフサイクルを対象にジャーニーマップを作成すると、膨大な量のデータが必要になってしまいます。最初にゴールを明確に定義することで、チームはリサーチする該当期間や顧客のグループを絞ることができます。
一般的に、目標には以下のようなものがあります。
- 新規ユーザーが購入した理由を把握する
- 既存ユーザーが離脱した理由を把握する
- あるマーケティングキャンペーンの対象となった顧客が、購入する可能性が高いかどうかを把握する
- ユーザーがカスタマーサービスに連絡する理由を把握する
カスタマージャーニーマップが1つだけである必要はありません。ただし、最初のジャーニーマップでは、購入や登録などの収益に影響がある目標が選択されることが多いです。
2. リサーチを行う
リサーチは、ジャーニーマップの中で最も時間のかかる作業ですが、最も重要な作業でもあります。世の中にいるすべてのデザイナーは、目に見えない形で自分の好みやバイアスの影響を受けています。いわば生のユーザーを観察して初めて、ユーザーが実際にどのように行動するのかを本当に知ることができます。
既にユーザーベースがあるプロダクトの場合、ユーザー分析を行うことで、ユーザーがどのような導線を辿るのか、メッセージやメールにどのように反応するのか、プロダクトやアプリのどこで離脱するのかなど、ユーザーの深いインサイトを得ることができます。ユーザー分析プラットフォームの中には、カスタマージャーニーが通常とは異なる場合に、チームに通知する機能を備えたものもあります。
Mixpanelは、これらのプロダクトの利用に関わるデータ収集と分析を行う際に非常に役立ちます。コホート別(セグメント別)に、ユーザーがどのような行動をしていて、タッチポイントの前後でユーザーがどのように変化したのかをコホート別に分析するなど、簡単にインサイトを集めることができます。
発売前のプロダクトでは、デザイナーの推測やワイヤーフレームに頼らざるを得ないかもしれません。しかし、発売前であろうとなかろうと、すべてのチームは、ユーザーの行動の背後にある感情を理解するために、アンケート、ユーザーインタビュー、タスク分析などのリサーチを実施して、定量的・定性的データをバランスよく集めていく必要があります。
特に以下の点に注意する必要があります。
- タッチポイント(プロダクトと顧客の接点)
- ペインポイント(顧客が困っていること)
- チャネル(どこで発生したことか)
- ユーザーのコンテクスト(どんな文脈か)
- ユーザーのモチベーション(なぜユーザーはそうなったのか)
3. タッチポイントとチャネルのブレインストーミング
社内の他のチームから、ユーザーについて知っていることを聞き出します。例えば、カスタマーサクセスチームは、顧客の好みや不満、興味をよく知っています。彼らにインタビューして、チーム内で理解されているにもかかわらず、どこにも記録されていないヒントやコツなどを記録しましょう。
カスタマージャーニーは、さまざまなデバイスやチャネルを通して展開されるため、顧客対応をしていない部署の人にも話を聞くことが有効です。例えば、あるEコマースサイトでは、法務チームが、ニューヨーク市内の特定の郵便番号への配送を禁止していたことがわかりました。実際にその郵便番号に住んでいる顧客は、別の場所にあるオフィスに商品を注文するか、店頭で商品を受け取るしかないという状態で、カスタマージャーニーに大きな影響を与えていました。
4. 共感マップの作成
顧客にインタビューする際に、顧客の目から見た体験を徹底的に把握するために、共感マップを使用すると良いでしょう。共感マップとは、メモを取るツールで、人物の絵が描かれていて、顧客の声を書き留めるため、以下のようなセクションに分かれています。
- 考えたこと、感じたこと
- 言ったこと、やったこと
- 聞いたこと
- 見たこと
- 感じたこと
- 手に入れたこと
顧客からのフィードバックや行動分析も、共感を得るための非常に貴重なデータです。反応しないボタンを何度もタップしている、アプリを終了するなど、ユーザーがネガティブな行動をとる場所を見ることで、チームはユーザーがイライラするポイントを推測し、それを特定の機能やフローに関与させることができます。
5. ジャーニーの下書きを作成する
ここで、実際にマップの作成に入ります。収集したデータをもとに、インタラクション・タイムラインにタッチポイントを記入していきます。
マップの形式は様々で、チームに合うものを作成できます。例えば、タイムラインはわかりやすい直線的なものにし、テーブルは顧客の思考プロセスや検討事項にするなど、より顧客の文脈に沿った表現になるようにします。
カスタマージャーニーマップの例
ステップ① | ステップ② | ステップ③ | |
タッチポイント | 広告をタップ | 広告からホームページに遷移 | プロダクトについて検索 |
ペインポイント | ジャケットが欲しい | ジャケットが見つからない | ジャケットが見つからない |
チャネル | オンライン広告 | ウェブサイト | ウェブサイト |
感情 | ポジティブ(広告に好印象) | ネガティブ(探しているものがない) | 中立 |
マップはフロー図としても描くことができ、ユーザーの意思決定の速度方向を知ることができます。フロー図では、ユーザーが各段階で検討する複数の選択肢を強調することができます。
またカスタマージャーニーマップの下書きをいくつか作成し、それらを統合して、より一般的なペルソナのジャーニーマップにすることもできます。正確ではないですが、記憶しやすくなります。よりシンプルな図では100%正確ではないかもしれませんが、チームが簡単に思い出して使うことができるので、プロダクトに大きな影響を与えることができます。
6. マップを検証する
マップを作るプロセスに参加はしていないけれども、顧客のことをよく知っているチームメンバーと一緒に、マップから得られた発見や結論を確認するようにしましょう。彼らのフィードバックを活用すれば、ユーザーが購入を決定する際の微妙なニュアンスなど、チームが見落としていた部分を浮き彫りにすることができます。
7.仕上げとデジタル化
ユーザージャーニーのデータは、誰にとっても貴重なものです。結果が検証されたら、チームは全社を集めて調査結果のプレゼンテーションを行います。また、ジャーニーマップをデジタル化して、社内に配布することもできます。デザインチームの中には、壁の大きさほどあるジャーニーマップを作成し、オフィス内の共有スペースに掲示して、誰でも見えるようにしているところもあります。
ユーザージャーニーマップの例
ユーザージャーニー①:ファッションに敏感な鈴木さん
- コンテクスト:Eコマースサイトでの買い物
- モチベーション:ファッショントレンドの先取り
- 人となりのイメージ:トップデザイナーをたくさん知っていて、いつもファッションをリサーチしている
- ペインポイント:ユニークなものを見つけること
- インタラクション・タイムライン
- ファッション・インフルエンサーのブログを読む
- ブログにあったリンクをクリックしてEコマースサイトへ移動
- ページを20枚以上閲覧
- 離脱
- 翌日に再訪問
- ショッピングカートに商品を入れる
- 購入
ユーザージャーニー②:稟議の準備をしている田中さん
- コンテクスト:新しいCRMツールの導入
- モチベーション:CRMを評価するプロジェクトを期限内かつ予算内で完了させる
- 人となりイメージ:徹底的にやりたい、社内から多くの意見を聞きたい、営業マンが苦手
- ペインポイント:CRMの選択肢が多い、評価に時間がかかる
- インタラクションのタイムライン:
タッチポイント① | タッチポイント② | タッチポイント③ | |
タッチポイント | CRMツール比較サイトでリサーチ | 各ベンダーのサイトでフォーム送信 | 営業との商談をスケジュールする |
ペインポイント | 口コミが信頼できるのかどうか不明 | 予算金額など、長くて質問が細かいフォーム | 商談をいくつも調節しなくてはならない |
チャネル | 比較サイト | ウェブサイト | Eメール |
感情 | ネガティブ | 中立 | ネガティブ |
- 明日、子供たちをどうやって学校に連れていくべきか
- A:自分で連れて行く(フロー終了)
- B:車を手配する
- A: 近所の人に連絡する
- A:今すぐ、と言ったら直前すぎるかな?自分で子供を送る
- B: 今すぐ、でも構わないだろうから近所の人に連絡
- A: 子どもを車に乗せる準備を始める
- B: 新しい乗車相乗りアプリを試す
- A: グーグル検索
- A: 広告をクリック
- A: アプリをダウンロードする
- A: 広告をクリック
- A: グーグル検索
- A: 近所の人に連絡する
結論
カスタマージャーニーマップは、顧客に愛されるプロダクトを開発していくために役に立つ、強力なツールです。しかしリサーチを行う際には正確なデータに基づいている必要があります。定量的・定性的なデータをプロダクトから収集するためには、データ収集から分析、インサイトの提供まで一貫して行うことができるプロダクト分析ツールが有効です。
Mixpanelは、コンバージョンや、顧客エンゲージメント、リテンションを始めとして、さまざまなデータを収集・分析することができる、強力なセルフサービス型のプロダクト分析ツールです。カスタマージャーニーマップを作成する中で、定量・定性データをリサーチする際に強力なツールです。こちらから、今すぐプロダクト分析専門家に相談する。