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モバイルアプリとウェブサイトのユーザーリテンション率(Retention Rate)

「良いリテンション率とは?」という質問に対する万能の答えはありません。どのプロダクトもユニークであるため、リテンション率を類似する会社、業界、市場開拓戦略のそれと比較することが最善策となります。低いリテンション率は事業を駄目にするものになりかねないので、プロダクトチームは適切な「良いリテンション率」を決めるのに強いプレッシャーを受けることが多いです。

プロダクトチームがリテンション率を測定する方法

リテンションの定義でさえ企業によって異なります。全く同じプロダクト、顧客ベース、方法論は二つとしてないため、リテンションの定義も同じではありません。この違いが明確な場合があります。例えば、企業向け動画ホスティングソフトウェアとコンシューマー向け音楽アプリは、非常に異なる顧客獲得方法を用います。動画ソフトウェアは、複数年の契約を用いるのに対して、音楽アプリは契約を必要としません。動画ソフトウェアに数ヵ月間アクティビティがなくても悪い兆候ではないかもしれません。しかし、音楽アプリのユーザーが1日でも利用しないとなると、チャーンする恐れがあります。違いがごくわずかである場合もあります。表面的には、2つのマーケティングソフトウェア会社は全く同じで獲得/喪失した顧客の数も全く同じように見えます。しかし、一方はリテンション率が80%であり、他方は92%である場合があります。それは、リテンションの定義が異なるからです。自社のリテンション率が良いか悪いかを見極めるために、各プロダクトチームはビジネスの健全性に関連するようにリテンションを定義する必要があります。

 

リテンション率の計算方法

リテンション率とは、一定の期間が経過してもその会社(のプロダクトやサービス)を利用し続けている顧客の割合のことです。言い換えれば、「ユーザーはアクションを実行し、一度離れて、再度戻って別のアクションを実行したか?」というような質問をするようなものです。答えが「はい」の場合、ユーザーは保持されたこと(リテンション)になり、「いいえ」の場合、ユーザーは離脱したこと(チャーン)になります。したがって、プロダクトチームは次の3つのことを定義する必要があります:

アクションとは?

既定では、ほとんどの企業は「アクション」を単にアプリを開くことを含む、プラットフォーム内でユーザーが実行するイベントとして大まかに定義しています。ユーザーが戻ってくる確率をより正確に測定できるように、一部のプロダクトチームは、購入、サインアップ、プロフィールの完成、シェア、企業にとって価値のあるその他のイベントのみを含めるように定義を明確にする場合があります。

どの期間についてリテンション率を測定するか?

次に、プロダクトチームはリテンション率を測定する期間を決めなければなりません。多くのコンシューマー向けアプリの場合、1日、1週間、2週間といった複数の期間にわたってリテンション率を追跡するのが一般的です。プロダクトチームは、戻ってきたユーザーがドロップオフする期間を基準にすべきです。例えば、Mixpanelの調査によると、ほとんどのアプリやソフトウェアの8週間のリテンションの割合は6-20% の範囲となっていて、業界によって異なります。この範囲内の割合になっているプロダクトチームは、この8週間から遡って調べていく必要があります。通常、これは期間当初にて獲得したすべてのユーザーのアクイジションコストを賄う利益を創出するユーザーの数を下回る期間となります。

その期間内のいくつのアクションがリテンションに相当するか?

最後に、プロダクトチームは、基準値を1つのアクション、3つのアクション、または支払いをする、プレミアムユーザーに切り替える、といった価値のある複数のアクションの組み合わせにするかを選ぶ必要があります。こうした情報に基づいて、リテンション率を計算することができます。リテンション率の計算式の一例を示します:

 

例えば、期間当初に100人の顧客がいて、過去14日間にアクションを実行したのが27人だった場合、リテンション率は27%になります。プロダクトアナリティクスプラットフォームを使用するプロダクトチームの場合、ソフトウェアがリテンション率を計算して分かりやすいダッシュボードに表示してくれます。以下の図は、2週間にわたる各日のリテンション率を示したものです。リテンション率を把握することで、プロダクトチームは良いリテンション率の構成要素を見極めることができます。

リテンション率を相対的に比較する方法

リテンション率を相対的に比較するには、「自社と比較する」と「他社と比較する」という2つの方法があります。自社の実績に対して毎週または毎月比較する方法をリテンション分析と呼んでいて、傾向が明らかにになります。例えば、リテンション率が下降傾向にある場合、プロダクトチームは懸念を抱き、原因を究明するべきです。上昇傾向の場合、プロダクトチームは上昇の原因となった相関する機能の変更、マーケティングキャンペーン、コホート行動を特定して、それを活用するべきです。他社と比較したリテンション率を測定するには、プロダクトチームは公表されていないことが多い競合他社のパフォーマンス統計値を入手する必要があります。それが入手できない場合、次に最善とされるリソースは、傾向を明らかにする13億以上のユーザーからの匿名データを分析したMixpanelの2017 Product Benchmarks Reportといった業界ベンチマーク調査となります。ほとんどの業界では、8週間の平均リテンションは20%未満です。

業界別の週間リテンション率

 

メディア業界または金融業界のプロダクトの場合、8週間のリテンション率が25%以上であれば良いとみなされます。SaaS業界およびEC業界の場合、35%以上が良いとみなされます。

 

業界別の良いリテンション率

プロダクトチームは、こうしたベンチマークを使用して、各自のリテンション率を分析し、事業の特異な要素に応じて調整することができます。有益なものとみなされるようなサービスを持っている場合は基準値を引き上げ、ユーザーがさほど頻繁にアクセスする必要がないサービスの場合は引き下げるようにします。こうした一定期間におけるパフォーマンスの大まかな推定と傾向に基づいて、プロダクトチームは良いリテンション率を設定することができます。